奈良県立医科大学 第二解剖教室 分子機能形態学講座
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研究内容

グリア細胞による脳機能制御メカニズムの解明

我々の脳は神経細胞とグリア細胞から構成されており、グリア細胞の数は神経細胞よりもはるかに多く数十倍に及ぶといわれています。また、人のグリア細胞をマウスの脳に移植するとマウスの認知機能が向上することから、脳機能におけるグリア細胞の重要性が示唆されます。私たちはアストロサイトと呼ばれるグリア細胞の一種が、神経回路形成を促進し、社会性を司る脳の領域の発達に関与することを見出しました。本研究は社会性の障害を特徴とする自閉症の病態解明に発展することが期待されます。このように、グリア細胞の脳機能における役割は未解明の点が多く残されており、私たちは自閉症などの発達障害やパーキンソン病などの神経変性疾患が形成される過程にグリア細胞がどのように関与するのかを研究し、将来的に病気の予防や治療につなげたいと考えています。
CD38

アストロサイトによる神経回路の制御機構

アストロサイトは脳の大部分を占める細胞であり、その数は神経細胞を大きく上回ります。最近の研究からアストロサイトは非常に多機能で、脳内情報処理に絶大な影響力を持っていることが明らかになり、創薬の標的細胞としても注目されつつあります。 最近私達は、アストロサイトの新規亜集団を見出しました。これらはOlig2(basic helix-loop-helix型転写因子)を発現し、脳のいくつかの神経核に特異的に集積し、またGFAP(一般的なアストロサイトマーカー)をほぼ発現しないという特徴を持っています(写真上:緑/Olig2アストロサイト、白/GFAP、赤/sox9)。更に免疫電子顕微鏡学的解析によりこのアストロサイトが抑制性シナプスを優先的に取り囲むことを見出しました(写真下:T/抑制性シナプスターミナル、矢印/Olig2アストロサイトの微細突起)。この新規アストロサイト亜集団が、神経回路とどう関わるのか? その制御機構を明らかにするために、様々な手法を用いて解析を進めています。

>アストロ1アストロEM

主な実験手法

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