アストロサイトは脳の大部分を占める細胞であり、その数は神経細胞を大きく上回ります。最近の研究からアストロサイトは非常に多機能で、脳内情報処理に絶大な影響力を持っていることが明らかになり、創薬の標的細胞としても注目されつつあります。 最近私達は、アストロサイトの新規亜集団を見出しました。これらはOlig2(basic helix-loop-helix型転写因子)を発現し、脳のいくつかの神経核に特異的に集積し、またGFAP(一般的なアストロサイトマーカー)をほぼ発現しないという特徴を持っています(写真上:緑/Olig2アストロサイト、白/GFAP、赤/sox9)。更に免疫電子顕微鏡学的解析によりこのアストロサイトが抑制性シナプスを優先的に取り囲むことを見出しました(写真下:T/抑制性シナプスターミナル、矢印/Olig2アストロサイトの微細突起)。この新規アストロサイト亜集団が、神経回路とどう関わるのか? その制御機構を明らかにするために、様々な手法を用いて解析を進めています。